
デミニマスと外国貿易政策
デミニマスルールでは、輸入品が関税または税金を課されることなく入国できるかどうかを決定します。
デミニマスとは何か、また、出荷地と仕向地による基準値の違いについて理解することは、国境を越える出荷費用とコンプライアンスを管理するうえで重要です。
こちらのページでは、以下についてご案内します。
デミニマスを理解する
デミニマスとは?
デミニマスとは、関税または税金を課せられることなく入国できる貨物の基準値を指す関税用語です。
デミニマスの基準値は国や地域によって異なり、少額の貨物はより効率的に通関手続きを行うことができます。
つまり、品物の価額がデミニマス基準値よりも少額の場合、通常は輸入税や関税を支払う必要はありません。
デミニマスルールとは?
デミニマスルールでは、関税および/または税金が適用されるかどうかを決定する価額の制限について具体的に定めています。ルールは国や地域によって異なり、貿易協定やポリシーの更新に基づいて変更される場合があります。
一部の国や地域では、特定の国を原産とする製品に対しても、異なるデミニマスルールや基準値を設けています。例えば、中国で製造された品物とメキシコで製造された品物では、異なる輸入税や関税が課される場合があります。また、一般的に品物が製造された国や地域が出荷される国や地域と異なる場合、製造された国または地域によってデミニマスルールの適用可否が決まります。
したがって、品物が中国で製造され、その後ベトナムからオーストラリアに出荷される場合、デミニマスを算定する際の原産国は、一般的にベトナムではなく中国と見なされます。
デミニマス免除によって企業が得られるメリットとは?
デミニマス免除により、通常、入国する際に品物の略式通関が可能になり、関税および税金を支払う必要がなくなります。これにより、複雑な通関書類を作成する必要がなくなり、顧客が製品に支払う総コストを削減できるため、中小企業は国境を越えた市場で競争力を維持することができます。
これは、小さくかつ低価額のパッケージを世界へ向けて高頻度で出荷するEコマースビジネスにとって特に有益です。デミニマス免除で関税、税金、複雑な通関書類の作成を回避することで、世界中の顧客に対して競争力のある価格、より迅速な配達、そしてよりスムーズな購買体験に繋がります。
例えば、オーストラリアの小規模オンラインストアが米国の顧客向けに手作りのキャンドルを販売しているとします。一つのオーダーは通常、米国のデミニマス基準値である800ドル*を下回る50ドルであるため、このオンラインストアは複雑な通関フォームに記入する必要がなく、輸入関税も免除されます。これにより、このビジネスをより簡単に世界へ向けて拡大させることができます。
デミニマスが国際貿易に与える影響
外国貿易政策とは?
外国貿易政策は、国際貿易を管理するための政府の枠組みです。この政策には、関税、適用免除、貿易協定、および輸出入プロセスに関する規則が含まれる場合があります。
また、外国貿易政策は、貨物がデミニマス免除の対象となるかどうかという点に直接影響する場合があります。
デミニマス基準値はどのように輸入コストの削減に繋がりますか?
デミニマス基準値によって、低価額の品物を輸入する際に関税や税金を支払う必要がなくなります。これにより、顧客が支払う最終コストが削減されるため、Eコマースにプラスに働き、取引の拡大を促すことができます。
ベトナムの小規模なファッションブランドが軽量の夏用ドレスを1着45米ドルでオンライン販売しているとします。米国の顧客が注文すると、パッケージは米国におけるデミニマス基準値である800ドル*以下で直接顧客へ向けて出荷されます。つまり、輸入関税は適用されず、通関書類の処理は最小限に抑えられます。
これにより、このブランドは迅速かつリーズナブルな国際輸送を実現し、競争力の高い価格を維持することができます。
外国貿易政策とデミニマス免除にはどのような関係がありますか?
一部の外国貿易協定には、加盟国間の円滑な貿易を促進するために、交渉済みのデミニマス基準値が含まれています。
これらの協定により通関手続きがシンプルになることで、参入障壁や取引コストが軽減されるため、特に中小企業やEコマース事業者にとってメリットとなります。
主要な仕向地のデミニマス基準値*
役立つヒント:
外国貿易政策は、経済状況、新たな協定、または世界規模の出来事によって変更される場合があります。最新情報や規制変更に関する情報を常に入手することで、企業はコンプライアンス違反や予期せぬコストを回避することができます。
関連情報: 中小企業が飛躍するための越境ECの新たな機会
デミニマスルールの適用方法
デミニマスによる免除の適用は、どのように決まりますか?
デミニマスルールが適用方法は、国や地域によって異なります。
例えば一部の国では、デミニマス免除を関税に対してのみ適用しますが、VATやGSTなどの売上税は低価額の輸入品についても徴収しています。
さらに、特定の国では、配送方法、製品カテゴリ、取引の種類などの要因がデミニマス免除の申請に影響を与える可能性があります。
デミニマスが適用されない場合、最終顧客への影響を最小限に抑えるために、企業はどうすれば良いでしょうか?
配達時の摩擦を軽減するために、企業は仕向地持ち込み渡し関税込み(DDP)サービスを利用することができます。
DDPでは、販売者がすべての運送費用、輸入関税、税金、および通関手続きに対して責任を負います。これにより、最終顧客が配達の際に追加料金を請求されることはありません。
このアプローチにより、通関手続きが簡素化され、購入時にすべての費用を把握できるようになるため、顧客体験を向上させることができます。



越境販売者向けの実践的な戦略
デミニマスルールを理解し、戦略的に利用することで、企業は国際輸送業務の効率化を進め、コストを削減し、顧客にシームレスな体験を提供することができます。
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すべての費用を含む明快な料金の提示:すべての費用を把握できるようにすることで、顧客は安心して購入することができます。
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商品の適切な分類と正確な書類作成:原産国、商品の価額、および HSコード を適切に申告することで、対象貨物がデミニマスの免除を受けられるようにします。
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事前通関および税金徴収ツールを提供する運送業者との提携:国際輸送において経験豊富な物流プロバイダーと提携することで、通関手続きを効率化し、さまざまなデミニマス基準値を遵守することができます。
関連情報:拡大する越境ビジネスの傾向。
貿易規則の遵守
企業に共通するコンプライアンス上の課題とは?
世界的な貿易規制は常に進化し続けており、企業、特にEコマース企業においては継続的な課題が生じています。
2025年の米国政策の変化により、中国本土および中国香港特別行政区からの低価額輸入品のデミニマス免除が停止になったことなど、次々に起こる変化に企業は迅速に適応していく必要があります。
この変更により、これらの地域から出荷されるすべてのパッケージに対して正式な通関手続きが求められ、関税も課されるため、国際貿易に依存する中小企業に影響を及ぼします。
コンプライアンスを遵守するためのベストプラクティス
正確なHSコードを管理する | 税関が関税およびその他の税金を正確に判断できるように、貨物が正しく分類されていることを確認してください。 |
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許可を受けた通関業者と提携する | 通関業者と提携することで、規制変更に関する最新情報を入手し、規制を確実に遵守できます。 |
文書管理体制を強化する | 正確かつ記入漏れのない書類を作成することで、通関手続きがスムーズになります。 |
商品の原産国を特定する | デミニマスの対象となるかどうかは、商品の原産国によって決まる場合があります。貨物の仕向地におけるルールにご注意ください |
企業に共通するコンプライアンス上の課題とは?
政府の公式ウェブサイトから、輸入基準値およびデミニマスルールに関する変更点について確認し、理解することができます。
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米国税関・国境警備局(CBP):www.cbp.gov
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ドイツ税関(Zoll):www.zoll.de
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オーストラリア国境警備隊(ABF):www.abf.gov.au
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中国税務総局(GACC): english.customs.gov.cn
役立つヒント:
FedEx関税ハブでは、正しいHSコードを見つける方法や、関税およびその他の税金の見積り方法に関するヒントを提供しており、中小企業が米国の関税について理解したり、スムーズな通関手続きを行ったりするのに役立ちます。
関連情報:フレイト貨物について知っておくべきこと。
デミニマスなしで出荷費用を管理する
すべての貨物がデミニマス免除の対象となるわけではありません。品物が設定価額の基準値を超過したり、制限付きまたは取扱注意の商品カテゴリに該当したり、貿易政策によって除外された国から出荷された商品だったりする場合があります。
例えば、2025年に米国が政策を変更したことで、中国本土と香港特別行政区から出荷または製造された品物は、その価額に関係なく、デミニマス免除が停止されました。
このような場合は、少量かつ低価格の商品であっても、関税およびその他税金を支払う必要があります。デミニマス免除が適用されなくなったことによる影響を軽減するために、企業は物流の管理方法を見直すべきです。また、アジア地域内での貿易や英国やドイツへの事業拡大といった代わりの事業戦略を検討することもできます。
これには、通関の申告件数を制限したり、出荷量を減らしたり、不要な関税を回避したりする戦略が含まれます。
免除対象外の貨物における実践的な物流戦略
戦略 | 詳細 | 利点 |
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オーダーの混載 | 複数の商品を混載し、1つの貨物にまとめます | 通関の申告数と商品あたりの運送コストを削減できる場合があります |
地域別のフルフィルメントセンターを活用する | 仕向地先のマーケット近くで在庫を保管します | 国境を越える輸送量を減らし、配達をより早くできる場合があります |
梱包方法を見直す | 梱包材を見直すことで貨物のサイズを小さくします | 容積重量請求を抑えられる場合があります |
原産国別に分ける | 異なる原産国の品物は分けて出荷します | 対象品目に対して確実にデミニマスを適用させることに役立つ場合があります |
よくある質問(FAQ)
貿易におけるデミニマスとは?
デミニマスとは、関税またはその他の税金を支払わずに輸入できる品物の限度額を指します。
デミニマスルールによって中小企業が得られるメリットとは?
陸揚げコストと事務処理を削減することで、中小企業はグローバルな取引を簡単に行うことができます。
デミニマス免除とは?
デミニマス免除とは、設定された基準値に応じて低価額な品物の免税による通関を可能にする通関規則です。
外国貿易政策が出荷コストにもたらす影響とは?
外国貿易政策では、輸入者が支払う関税の額、必要な書類、およびデミニマスのような免除の適用可否について決定します。貿易政策は運送料金に直接的な影響を及ぼすものではありませんが、出荷準備にかかる時間とコスト、および商品の陸揚げコストに影響を与える可能性があります。
デミニマスがEコマースにおいて重要な理由とは?
デミニマスによって商品に関する手間や輸送時間を短縮し、商品にかかる総コストを削減することができます。これは、国際的に事業を展開するネット通販業者にとって理想的です。
デミニマス免除が適用されない場合、企業はどのような対応が可能でしょうか?
企業は、配送や取り扱いにかかるコストを削減するための代替手段を検討する必要があります。これには、貨物を混載することで通関手数料を節約したり、貨物を分けたりすることで、対象となる場合にデミニマスの適用を受けられるようにすることなどが含まれます。
デミニマスや外国貿易政策はどのくらいの頻度で変更されますか?
貿易協定、経済政策、または国際的な交渉により、定期的に更新されます。政府の公式ウェブサイトまたはFedEx関税ハブで最新情報をご確認ください。
結論
デミニマスの基準値や外国貿易政策は、コスト、コンプライアンス、マーケットへのアクセスに直接的な影響を及ぼします。そのため、国境を越える業務を管理する上で理解が不可欠となります。
デミニマスとは何か、そしてお客様がすべきことを理解することで、顧客満足度を向上させると同時に遅延や罰金を回避することができます。
米国への出荷業務を行い、変化する米国輸入関税の最新状況に対応しなければならないビジネスのために、FedExは情報ハブを作成しました。最新情報を提供し、ビジネスに活用していただけるようサポートいたします。
*本書作成時点でのデミニマス価額および情報です。出荷前に、仕向国に関する最新の通関規則および規制をご確認ください。