変動の時代に成長するために:2026年、リーダーが見直すべきこと
マーカス・バルツァライト(FedExアジア太平洋地域(APAC)営業・ソリューション担当 シニア・バイスプレジデント)
2026年が始まってまだ5か月ですが、昨年の事業戦略の前提となっていた多くの考え方が、すでに見直しを迫られています。貿易の不安定化の再燃、AI導入の加速、そして根強い地政学的摩擦は、リーダーたちに明確な真実を突きつけています。それは、このような変動の大きい世界では、レジリエンスは単に守りを固めることではないということです。重要なのは、スピード、透明性、パーソナライゼーションに対する顧客の期待の高まりに応えながらも、成長を続けるための俊敏性を構築することです。先を見据える経営者たちは、アジア太平洋地域や新興市場においてレジリエンスと成長が密接に関連していることを認識し始めています。俊敏性のあるネットワーク、適応性のあるオペレーション、そしてインテリジェントなシステムが成長の原動力となっています。貿易の複雑化やサプライチェーンのさらなる高速化など、今日のCEOが直面する課題は、従来のツールや組織の縦割りでは解決できません。こうした課題を解決するには、顧客を最優先に据え、柔軟なソリューションを提供し、リアルタイムの可視性を実現するとともに、信頼性の高い先回りしたサービスを通じて信頼を築くという、従来とは根本的に異なるアプローチが必要です。
そして、その変革はすでに始まっています。大手企業では、従来の硬直的なエンドツーエンドのグローバルサプライチェーンから脱却し、柔軟な物流、地域に根ざしたオペレーション、リアルタイムのデジタル可視化、サプライヤーとの強固で長期的なパートナーシップ、シナリオプランニング、さらにはニアショアリングをはじめとする複数調達の確保などを基盤とした、より柔軟で地域間のバランスを重視する貿易戦略へと移行しています。この変革を支えているのが、AIとデータです。AIとデータは、顧客への迅速な対応や、ポリシー変更へのより的確な適応を可能にし、不確実な状況下でも自信を持って投資判断を下せる環境を生み出しています。
成長、AI、そしてグローバル貿易は、いまや一つの経営課題
いまや、企業の優劣を分けるのは、AIへの投資額や事業を展開する地域の広さだけではありません。本当に重要なのは、統合された仕組みと、一貫性と透明性のある顧客体験を提供することで築かれる信頼です。
持続的な競争優位性を築いているリーダーは、成長戦略、テクノロジー活用力、そして貿易オペレーションを一体化し、統合的なアプローチとして実践しています。こうしたリーダーたちは、これらはもはや並行して管理すべき個別の業務領域ではないことを理解しています。これらは、一つの戦略課題を構成する相互に依存し合う3つの要素です。その要素を個別に扱うことは、意思決定を遅らせ、適応力を制限することにつながります。それぞれの要素は進化しています。成長は、もはや事業の拡大だけではなく、スピード、レジリエンス、そして顧客との関連性によって測られるようになっています。
AIは実験的な活用の段階を超え、業務オペレーション、顧客体験、そして経営層の意思決定全体に組み込まれた不可欠なインフラとなっています。グローバル貿易もまた、障壁なく進むことを前提とした時代から、地域性や地政学的要因を踏まえた新たな事業モデルへと変化しています。そこでは、効率性だけでなく、レジリエンスや柔軟性がこれまで以上に重視されています。これらの要素を結び付けている企業は、既存のモデルを最適化しているだけではありません。俊敏性を維持し、データに基づくインサイトを活用し、顧客の信頼を獲得する力が最大の競争優位性となる時代に向けて、自社のビジネスを再構築しているのです。
変革を主導するのはCEO
成長、AI、貿易を一つの戦略として統合することは、本質的に複雑な取り組みです。この取り組みは、あらゆる部門にまたがり、事業運営モデルを再構築するとともに、適切に管理されなければ重大なリスクをもたらします。そうした高度な判断は、他人任せにはできません。
2026年1月に実施されたBoston Consulting GroupのCEO調査でも、この変化が明確に示されています。現在では、CEOの約半数が、AIを自らのキャリアを左右する重要課題として捉えています。その認識には十分な根拠があります。AIに関する意思決定は、コスト構造、人材戦略、顧客体験、そして市場における競争力にまで影響を及ぼします。これらは、成長に関わる中核的な課題であり、CEO自らが主体的に担うべきものです。
優れたリーダーは、その認識を行動に移しています。AI推進委員会の指揮を執り、自ら優先的に取り組むユースケースを選定するとともに、すべてのAI投資が測定可能な事業成果につながるよう尽力しています。2026年において、AIリーダーシップに求められるのは、好奇心や試行錯誤ではありません。結果に責任を持つことです。
大規模な自動化:AIがもたらす最も早い成果
CEOが具体的な成果を求めるのであれば、AIによる短期的な効果は、話題性の高い活用事例だけにあるわけではありません。自動化を大規模に展開し、業務全体にAIを深く組み込むことで、データを先回りした行動へと変え、信頼の構築につなげていきます。
FedExでは、こうしたアプローチをすでに日々の業務に取り入れています。FedExでは、ロボット、倉庫の自動化、インテリジェントルーティング、自律型プランニング、センサーデータ、そして高度なアナリティクスをAIと組み合わせ、それらの機能を、お客様が日常的に利用するデジタルツールへと組み込んでいます。
HTSコード検索機能やCustoms AIチャットボットなどのAI搭載ソリューションは、商品の分類を自動化し、書類作成の精度を向上させるとともに、通関手続きを迅速化させます。AIがもたらす高い精度により、顧客プロファイルの照合、関税分類、需要予測を強化し、エラーを削減するとともに、待機時間を短縮し、越境物流の遅延を最小限に抑えることができます。
FedEx Surroundも、その一例です。AIとSenseAware IDを活用したFedEx Surroundは、配送状況をほぼリアルタイムで可視化するとともに、問題が深刻化する前にリスクを予測し、FedExのグローバルネットワーク全体を通じて24時間365日の専門的な監視体制を提供します。その結果、高い可視性、先回りした情報提供、そして透明性が実現し、お客様との揺るぎない信頼を育むとともに、物流を長期的なパートナーシップへと進化させます。
220の国と地域で毎日1,700万件の貨物を取り扱うFedExでは、ほぼリアルタイムのパターン検知により、潜在的なリスクを発生前に特定し、問題が深刻化する前に業務パフォーマンスを最適化しています。その結果、事業規模を拡大しながらも、コストを比例的に増加させることなく、より高い信頼性を実現しています。
同様に重要なのが、人材の準備態勢です。全社規模のAI教育・リテラシープログラムを通じて、従業員が責任を持ってAIを効果的に活用できるスキルを身に付けられるよう支援しています。これにより、AIの導入を実際の業務変革へと着実につなげています。
ビジネスリーダーが今、考えるべきこと
2026年、経営層に問われているのは、AIへの投資や貿易ネットワークの再構築、あるいは変化に柔軟に対応できるオペレーションの構築を行うべきかどうかではありません。真に問われるのは、それらの投資を個別の施策として進めるのか、それとも変動の時代に成長を実現しながら顧客の信頼を築くための、一貫した戦略の一部として推進するのかという点です。
特に優先すべきことは、次の3つです。
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俊敏で柔軟なソリューションを通じて、顧客を第一に考える。AIとデータを活用して変化の兆しをいち早く捉え、先回りした情報提供やパーソナライズされた選択肢を提供するとともに、競合他社よりも迅速に対応することで、顧客との一つひとつの接点を信頼に基づく長期的なパートナーシップへとつなげましょう。
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安定ではなく、変動を前提とした貿易戦略を構築する。地域ごとの強みや柔軟なネットワーク、サプライヤーとの強固で長期的なパートナーシップ、複数調達体制、そしてシナリオプランニングを基盤から構築することで、事業の勢いも顧客からの信頼も損なうことなく、変化に迅速に対応できる体制を整えましょう。
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あらゆるAI・データへの投資を、生産性と成長に関する測定可能な成果へと確実に結び付ける。まずは、自動化やロボティクスなど、効果が最も明確に見込める分野に注力します。そして、不確実な時代においても、テクノロジーが自社のオペレーションだけでなく、お客様のビジネスの成功も支えられるようにしましょう。
次の成長サイクルを定義するのは、早期に変化し、継続的に適応し、果断に行動する企業です。問われているのは、変化し続ける世界で成長を実現するために、自社が変革する準備ができているかどうかです。